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2021/08/06 東証 特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求:アジア開発キャピタル(株)

 

以下のとおり、特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求を行うことにしましたので、お知らせします。

※本件は、日本取引所自主規制法人の審査結果に基づき決定したものです。

1.銘柄 アジア開発キャピタル株式会社 株式
(コード:9318、市場区分:市場第二部)
2.特設注意市場銘柄指定日 2021年8月7日(土)
  条文 有価証券上場規程第501条第1項第3号
(適時開示の規則に違反し、内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められるため)
3.上場契約違約金金額 2,880万円
  条文 有価証券上場規程第509条第1項第1号
(適時開示の規則に違反し、当取引所の市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められるため)
4.理由 アジア開発キャピタル株式会社(以下「同社」という。)は、2021年6月22日、同社における不適切な会計処理に関する特別調査委員会の調査報告書を開示し、同年6月30日、過年度の決算内容の訂正を開示しました。
これらにより、同社の子会社が商流の一部として参加していた蓄電池の売買取引は、実際には現物の納品がなされておらず、かつ、資金が還流している取引であったことが判明しました。その結果、同社は、2018年3月期第3四半期から2021年3月期第3四半期までの決算短信等において、上場規則に違反して虚偽と認められる開示を行い、2018年3月期、2019年3月期及び2020年3月期の連結売上高が10%以上減少し、特に2018年3月期において約53%、2019年3月期において約68%の減少を伴う連結売上高の訂正が生じていることが判明しました。

こうした開示が行われた背景として、本件では主に以下の点が認められました。
・蓄電池取引を開始するに際し、蓄電池取引の商流に参加する企業の素性等について、十分な情報共有や協議・検討が行われないまま取引を開始するなど、検討体制に不備があったこと
・商流取引である蓄電池取引において、蓄電池の製造や現物の存在の確認は、リスク回避の観点から決定的に重要であったが、取引開始後は、資金が回収さえ出来ていればよいという意識が社内で醸成され、連結売上高の相当部分を占める取引であったにもかかわらず、会計処理及び財務報告の誤謬のリスクに対する認識を欠き、リスク回避のための事前事後の調査の重要性に対する認識が不十分であったこと
・蓄電池取引を推進した子会社の取締役は、同社の取締役及び財務経理部長を兼任していたため、職責上、自らが会計監査人に直接対応しており、同氏に情報及び権限が集中し、結果として、会計監査人から取引の実在性確認の必要性を告げられたにもかかわらず、他の取締役や監査役には情報が共有されず、役員間の牽制に機能不全を生じさせたこと
・同社の取締役会規程には、子会社に関する重要な事項は同社取締役会決議を要する旨が規定されているにもかかわらず、同社の取締役会では、蓄電池取引の実行の可否は承認決議の対象外とする取締役会の運営上の不備があったこと
・監査役は、商流や製造会社が明らかでないことにつき懸念を有したにもかかわらず、事実関係解明のための十分な調査を行わなかったこと
 
本件は、投資者の投資判断に相当な影響を与える開示が適切に行われていなかったものであり、同社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められることから、同社株式を特設注意市場銘柄に指定することといたします。
また、本件は、同社における脆弱な内部管理体制の下で不適切な売上計上が継続されていたものであり、その結果、大規模な売上の訂正が生じ、投資判断情報として重要性の高い決算情報について長期間にわたり誤った情報を公表し続けることとなったことは、当取引所市場に対する株主及び投資者の信頼を毀損したと認められることから、同社に対して、上場契約違約金の支払いを求めることといたします。
特設注意市場銘柄指定状況
特設注意市場銘柄指定履歴
上場契約違約金徴求銘柄

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