金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第10回) 議事録

  • 1.日時:

    令和3年5月25日(火)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室

金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第10回)
令和3年5月25日
 
【神田座長】
 おはようございます。それでは、定刻になりましたので、始めさせていただきます。ただいまから市場制度ワーキング・グループの第10回目の会合を開催させていただきます。

 皆様方には、いつも大変お忙しいところを御参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日の会合も、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインでの実施とさせていただき、一般傍聴はなしとさせていただきます。また、メディア関係の方々には、金融庁内の別室にて傍聴をしていただいております。議事録は、通常どおり作成の上、金融庁ホームページで公開させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

 今回もオンライン参加をお願いしておりますので、2点注意事項がございます。まず1点目ですが、御発言されない間は、マイクをミュート設定、オフにしていただいて、ビデオも通信環境安定の観点からオフにしていただければありがたく存じます。それで2点目、発言を希望される際は、オンライン会議システムのチャット上にて、全員宛てにお名前または協会名などの組織名を御入力ください。そちらを確認して、私から御指名をさせていただきますので、御自身の名前を名乗っていただいた上で御発言ください。その際、マイクのミュートをオンにして、カメラもオンにしていただければと思います。

 それでは、今日のテーマでございますけれども、金融商品取引業者と銀行との顧客情報の共有等の在り方、それと、成長資金の供給の在り方に関する検討、この2つをテーマに御議論をお願いしたいと思います。まず最初に、金融商品取引業者と銀行との顧客情報の共有等の在り方に関する事務局説明資料について、事務局から御説明をいただきます。その後で、三菱UFJフィナンシャル・グループと野村證券から、それぞれ御提出いただいている資料に基づいて御説明をいただき、そして委員の皆様方から御意見等をいただくという流れで進めさせていただきたいと思います。なお、本日は、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、大和証券からも資料の御提出をいただいております。本日の質疑対応のため御出席いただいております。それから、今日の2つ目のテーマであります成長資金の供給の在り方に関する事務局説明資料につきましては、事務局から説明をしていただき、その後、日本証券業協会から資料に基づく御説明をしていただき、そして皆様に、その後、御意見等をいただくという流れで考えております。ちょっと今日も盛りだくさんで恐縮ですけれども、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず、金融商品取引業者と銀行との顧客情報の共有等の在り方に関する事務局説明資料につきまして、事務局からの御説明をお願いします。太田原市場課長、よろしくお願いいたします。

【太田原市場課長】  
 4月以降、金融庁におきまして、国内の主要な金融機関に対して顧客の情報管理の実務等に関するヒアリングやアンケートを実施いたしました。詳細は、それぞれからプレゼンがありますが、概略を資料1としてまとめました。

 3ページを御覧ください。国内金融機関における顧客情報の管理の仕組みについてです。法人関係情報を入手した役職員は、管理システムに速やかに登録を行い、部室店長及びコンプライアンス部門に速やかに報告するとされています。法人関係情報は、エンティティごとに独立したシステムで管理し、国内拠点の法人関係情報と海外拠点のMNPIは別のシステムで管理されることが通例です。

 4ページです。国内金融機関における顧客情報の情報共有の在り方についてです。銀行及び証券会社に対し、法令等で管理体制の整備を義務付けています。また、証券会社に対し、法令で、法人関係情報に基づく有価証券の自己売買等を禁止しています。法人関係情報の管理について、銀行では、特定の部署への共有を禁止し、それ以外の部署をプライベート部門に分類し、証券会社では、プライベート部門からパブリック部門への共有を原則禁止し、共有時にウォールクロスの手続が必要とされています。法人関係情報の共有には、“Need to know”原則が適用され、多くの金融機関では、部室店長が共有の可否を判断するとされています。法人関係情報以外の顧客情報についても、“Need to know”原則に基づき管理し、職務上の必要性に基づき、部門内・部門間での共有の可否を判断するとされています。

 5ページです。M&A案件等の情報は、グローバルベースで一元的に利益相反を管理するシステムに登録し、コンプライアンス部門は、登録情報をもとに利益相反チェックを実施するとされています。必要に応じ、経営幹部が参加する会議体にエスカレーションを行う規程があります。ただし、利益相反管理のプラクティスが社内で蓄積され、担当部門内での判断が可能となったこと等を理由として、直近では、当該会議体まで報告した実例はないことが多いようです。

 6ページです。国内銀行グループにおける優越的地位の濫用防止についてです。事前策として、社内ルールにおいて法令上の禁止行為と誤認される恐れのある行為も含めて禁止し、マニュアルで手続を規定し、役職員への研修を実施しているとされております。また、事後策として、リスク管理部門が社内モニタリングにより適切性をチェックし、コンプライアンス部門が検証しているとされております。上記のような体制が整備されておりますが、不適切な事例は確認されており、事後的に内部で対処しているとされております。

 8ページ、ご議論いただきたい事項です。大部分は4月15日の市場制度ワーキング・グループの資料と同様ですが、最後の2行で、「このような中で、事業会社が情報共有を拒否できる権利を一定程度維持しつつ、極力ファイアーウォール規制を緩和することについて、どのように考えるか」としています。

 9ページです。ファイアーウォール規制の見直しについて、対象となる事業法人等の範囲、現状、事前の通知が必要とされているオプトアウトの在り方や、あらかじめ承諾が必要とされている電磁的方法の利用も含めた見直し、情報授受規制以外の規制の見直し等の論点を掲げています。また、ファイアーウォール規制の見直しに伴う弊害の防止について、顧客情報管理及び利益相反管理に関し、欧米と日本の制度・実務の比較を踏まえた体制整備・行為規制、その方策を措置する手段、顧客情報管理に関し、商業銀行業務・投資銀行業務の両方を行う者に対する証券規制の在り方、優越的地位の濫用防止に関し、当局によるモニタリングの強化等の論点を掲げています。

 私からは以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。ここで、本日、松岡委員が途中退席されると伺っておりますので、もし御発言がございましたら、松岡委員から御意見等をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

【松岡委員】  
 どうもありがとうございます。途中で退席をさせていただくことになりますので、一言申し上げさせていただきますと、今回議論されております一連の見直しにおきましては、ぜひ企業の声を十分に生かした形で取り組んでいただければと思っております。

 事業会社の観点から申し上げますと、資料の中にもございましたけれども、銀証ファイアーウォール規制については、適切な見直しを進めていく方針であると理解をしておりまして、そういった考え方の下での検討を進めていただくということでお願いしたいのと、同時に、4月のワーキング・グループでも既に発言をさせていただきましたけれども、見直しに当たりましては、事業会社の実務を担っている方々からのお声、すなわち自社の情報は自社で管理できるようにしたいということでございましたけれども、そういった声も尊重していただいて、また、それぞれの事業会社が置かれている環境、特に資金調達の環境などを踏まえていただいて、実質的に事業会社側に弊害、手間などが過度に生じない対応をぜひ御検討いただきたいと思っている次第でございます。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

【神田座長】  
 松岡委員、どうもありがとうございました。それでは、続きまして、三菱UFJ銀行の林尚見取締役専務執行役員から、御説明をいただきたいと存じます。林参考人、どうぞよろしくお願いいたします。

【林参考人】  
 林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日お話し申し上げる内容は、2ページに記載がございます。組織、情報管理、利益相反管理、優越的地位の濫用防止、そしてファイアーウォール規制撤廃を通じたお客様のメリット、この順番でお話を申し上げます。

 3ページでございます。MUFGは、日系と非日系、リテール、中堅中小企業と大企業の軸で、4つの顧客部門、事業本部を有しております。事業本部では、それぞれのお客様にグループをあげての、最適なソリューションの提供を目指しておりまして、このうち投資銀行業務は証券中心ですが、一部銀行からも提供しております。

 4ページ目です。銀行内で法人関係情報の共有が遮断される部署の説明です。銀行には、有価証券関連業務に規制がありますので、銀行で個社銘柄であるCP、CDS取引を行う部署、金融商品仲介を行う部署を、システム、物理的に遮断し、法人関係情報の伝達を一切禁止しております。政策投資部署では、法人関係情報の保有時には、一律、売買は行っておりません。グループ内証券につきましては、この後、御説明をされます野村證券と同じであると考えております。

 5ページ目からは、お客様の情報管理です。銀行・証券は、個々の業法に基づく別会社です。本邦には、ファイアーウォール規制もありますので、外銀と異なり、別々のシステムで法人関係情報を管理しています。銀行では、コンプライアンス部門の管理の下、全行員がシステムを利用できますが、登録済みの情報へのアクセスは、業務上、必要な者に限るよう、厳格に管理されております。所定の手続を経て、銀行から証券に法人関係情報を共有する場合、証券は自社のシステムに新たに登録、管理を行うというフローです。

 6ページ目でございます。当行では、“Need to know”原則を、「その情報を知らなければ、職務遂行上、判断等に支障を来し、顧客や当行の利益を損ねる可能性がある場合」と定義しており、これに合致しない共有は行いません。関係情報入手後、営業部店は直ちにシステム登録し、コンプライアンス統括部へ報告をいたします。他部への共有は、業務上の必要性を適切に判断する拠点長が担っており、システムを通じて行っております。共有先は、一人単位でシステム上に記録し、コンプライアンス統括部が適切かどうかをモニタリングしております。銀行では、右端の共有禁止先の部署に一切の法人関係情報を共有せず、部門をまたぐウォールクロス等はありません。また、役職員が不公正な取引を行わないよう、所属部署に応じて、有価証券売買の禁止やコンプライアンス統括部への事前届出を義務づけております。

 7ページ目へお進みください。法人関係情報以外の情報は、重要性により管理方法を区分しております。利益相反管理の観点から、厳格な管理が必要な情報は、法人関係情報のシステムに登録し、法人関係情報と同じレベルで保有者を制限しております。それ以外の一般的な非公開情報は、システム面で他部店の情報へのアクセス制限を行いつつ、入行する際に銀行員がイロハのイとして教え込まれる“Need to know”原則に基づき、担当が適切な共有先を自ら考え、判断をしております。

 8ページ目でございます。顧客情報管理の枠組みがワークするように、検証体制も整えております。コンプライアンス統括部がルール整備や行員教育、実際の情報管理におけるモニタリングを統括しておりますが、本部に任せることなく、一線の営業現場がリスクオーナーシップを認識し、自己規律が働くよう、半年ごとに法人関係情報が当該システムの外に誤記入されていないか、メールに混在していないかを自主的に点検し、本部に報告しております。

 9ページ目以降は、利益相反管理について申し上げます。MUFGでは、利益相反をお客様の利益とグループの利益、またはグループ各社が義務を負う複数のお客様間の利益が、競合・対立する状況と定義しています。グループ各社をまたぐ利益相反管理が重要であるため、グループ共通のシステムを利用しております。

 10ページ目は、利益相反管理のイメージ図です。営業部店は、真ん中左にある管理対象業務を各社のコンプライアンス関連部署に報告し、当該部署がまずは利益相反をチェックいたします。このうち業態をまたぐ管理が必要な案件は、各社のコンプライアンス関連部署がグループの管理システムに案件を登録いたします。持株コンプライアンス統括部がこれらのコンフリクトチェックを行い、必要に応じ、真ん中右にあるように、取引の中止、変更、あるいは開示、同意取得、情報遮断等の措置を指示し、執行状況をモニタリングしております。

 11ページ目です。下段の左下のM&Aの売買双方からアドバイザリー就任を依頼される事例でありますが、双方のお客様の利益が相反し、弊害防止措置が容易でないことから、双方のご依頼の片側を原則お断りしております。右下は、利益相反の問題になりやすい事例として、有価証券発行で調達した資金で銀行借入を返済するケースを説明しております。財務基盤強化のため、借入れを長期の社債や株式に振り替えたいとするお客様はおられます。この際、特に格付の低いお客様の与信リスクを投資家に不当に転嫁する、銀行の与信回収のために能動的なセールスを行うことが問題になります。格付に関わらず、目論見書を通じ投資家に資金使途を開示いたしますが、これに加え、低格付先の案件では、証券連携前に、コンプライアンス関連部署で不適正な取扱い、セールスがないか重点的に確認をし、問題ない場合のみ連携しております。

 12ページは、利益相反管理の対象業務です。こちらに記載のある業務は、全量、利益相反管理のスクリーニングにかかることになります。また、対象業務は、半期ごとに見直しを行っております。

 13ページ目でございます。昨年度は、グループで約2,400件の利益相反チェックを行っております。M&A関連と株式・債券の引受けに関わるもの、また、銀証間がそのほとんどです。地域別には、国内外で6対4の割合となっております。このうち難しい利益相反管理が必要で対応を協議した案件は約40件ありましたが、同意の取得や情報遮断、取引限定等をコンプライアンス統括部から指示し、当然のことながら、問題が残るまま実行に至った例はありません。さらに、年に一度、外部顧問弁護士に枠組みがワークしているか、個別案件の判断が妥当かという点を検証し、体制の実効性を確認いただいております。

 14ページからは、優越的地位の濫用防止への取組です。マクロ的に企業と銀行の関係は大きく変化しておりますが、貸手である以上、経済情勢やお客様の業によって、銀行の優越的地位が意識される場合はあります。MUFGでは、経済合理性のない取引や意向に沿わない取引を融資の条件とするといった取引の強要や誘導、顧客要請に基づかない過剰な関連会社との共同訪問などを禁止行為としております。こうした中でも不適切な提案が行われていないか、業務ごとに事前・事後の検証を行い、コンプライアンス部門でモニタリングをしております。

 15ページです。優越的地位の濫用をされやすい取引として、重点的にチェック体制を敷いている銀証プライマリー案件を例に御説明を申し上げます。まず、案件の事前に、取引記録や担当者ヒアリングを通じて、業務所管部が問題の有無をチェックいたします。次に、案件成約後に、取引獲得に問題がなかったか、各社のコンプライアンス部署が、業務日誌やメールのモニタリング、担当者ヒアリングを行い、適正性を確認いたします。また、MUFGのコンプライアンス統括部が、事前・事後のチェックが適切に行われたか定期的に確認をしております。このほか、専用の電話相談窓口も設置し、お客様の声を受け止める体制も整備しております。

 ここまでお話ししたことを一旦まとめさせていただきますと、ファイアーウォール規制導入以降、個人情報保護法が整備され、守秘義務も明確化されてまいりました。2009年には利益相反管理体制の整備とグループ銀行の優越的地位を用いた勧誘が禁止もされております。顧客本位の業務運営の原則が導入され、重要情報シートなど、一層の取組が進められております。制度面での金融庁の御尽力もあり、欧米と同様に、MUFGを含め、各社が法令とプリンシプルに基づき、お客様本位の取組を考え、実践をしてまいりました。もちろんこれらの取組にゴールはなく、ベストプラクティスは日々進化いたしますので、さらなる高度化を図ってまいります。

 最後に、16ページです。現代社会において、お客様はサービスを受けるに当たり、コモディティ化した他社と差別化されないサービスではなく、多様な選択肢も比較しつつ、様々なサービスを組合せ、潜在的なものも含め、お一人お一人の固有のニーズを満たすサービスが提案されることを強く期待しておられます。ぶつ切りとなった個々のコモディティ化したサービス提案では、御満足はいただけないと理解しています。現に情報や人材をフルに活用し、最適なサービスを一元的に提供するデジタルプラットフォーマーが登場し、生活に欠かせないものとなってまいりました。一方、金融の世界を振り返りますと、欧米では、銀証を含むグループ一体運営が進化していますが、我が国では、ファイアーウォール規制により、情報や顧客接点、プロダクツが分断され、銀行のフロントライン、証券のフロントラインは、それぞれの領域でのみサービスを考え、提案を行っております。この状態では、お客様の期待する様々なニーズを満たす一元的なサービス提案には到底たどり着けないと理解しています。

 日本企業はグローバル競争に果敢に挑戦しており、次のページに記載しましたが、日本企業のクロスボーダーM&Aは、年10兆円規模にまで拡大いたしました。企業のこれらの挑戦を支える金融業としての育成・強化が欠かせません。先週、改正銀行法が成立し、デジタル化や地方創生、SDGs推進に貢献できるよう、金融グループの業務範囲が大きく拡大されることになっております。これに加え、金融グループの本業部分ですが、ファイアーウォール規制が抜本的に見直されることで、シームレスな情報連携と一元的顧客設定が実現し、銀証がそれぞれのプロダクツにとらわれることなく、金融業としてお客様の課題解決や我が国金融市場の発展、経済成長に貢献していけること、これを切に願っております。

 私からの説明は以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、野村證券の飯山俊康副社長から、御説明をお願いいたします。飯山参考人、よろしくお願いいたします。

【飯山参考人】  
 野村證券の飯山でございます。弊社の顧客情報管理と利益相反管理の体制について、御説明させていただきます。蛇足ながら、優越的地位の濫用防止体制については、業務の内容から基本的に該当しないと考えておりますので、割愛しております。

 資料の説明の前に、考え方をちょっと整理させていただければと思います。先月の市場制度ワーキング・グループにおきまして、外資系金融機関の顧客情報管理体制についての御説明がございました。“Need to know”原則に基づいた必要最低限の情報共有、グローバルで組織的かつ一元的なシステムによる厳格な管理の徹底という点につきましては、これから御説明申し上げますけれども、弊社のグローバルな顧客情報管理も同じ考えと運営です。特に、株式、債券など、証券引受けやM&Aなど、高度な情報の秘匿性を伴うビジネスを行うに際しては、第一線であるビジネス部門のみならず、第二線であるコンプライアンス部署が、ノーマルに厳格に情報コントロールを行うことが極めて重要ですので、違和感のないお話でした。また、外資系金融機関は、銀行法制と証券法制の両方をグローバルに充足しているとのお話でしたが、日本においては、銀行は銀行法、証券は金商法と異なる法律が並立しているという事情があり、そのために銀証ファイアーウォール規制がそもそも存在しているわけですので、ファイアーウォール規制の緩和や撤廃をもしも進めるのであれば、顧客情報を証券と共有したいとする銀行には、銀行法と金商法の両方を充足していただくとか、もしくは銀行法の規定を金商法に合わせて改正するとか、また、将来的な根本的議論としては、総合金融サービス法をゼロからつくるなどしていただくことが不可分の条件となるのではないかと改めて思った次第でございます。今般、金融庁の事務局資料の9ページに新たな問いかけが載っていますけれども、私どもの考えはそういったことでございます。“Need to know”原則に基づいた必要最低限の情報共有というのは、当初から申し上げている顧客の意思をどう汲み取って反映するかに通ずる話です。これも4月の市場制度ワーキング・グループで報告がありましたとおり、どの金融機関を選択して、どういう金融サービスを受け手が自分で決めたいといった御意見や、銀証連携による提言は、必ずしも顧客の最適解になるとは限らないといった懸念などを踏まえますと、ファイアーウォール規制をなくして、顧客の意思とは別のところで金融機関が自由に顧客情報を共有していくことには決してならないはずです。先ほど、松岡委員のお話もそういった点だったかと思います。日本市場の国際競争力や市場の機能強化、サービスの質の向上、国際的なハブとしての魅力向上、そういったことのためには、単なるファイアーウォール規制の緩和ではなく、顧客情報管理体制の強化や法制度と監督体制の厳格化といった、むしろ国際水準に合わせたレベルアップこそが必要なのではないかと思います。

 それでは、1ページ目を御覧ください。まず、情報管理に関する組織体制ですが、野村ホールディングス及び野村證券においては、プライベート部門をイン部署、パブリック部門をアウト部署と定義し、イン部署をその他の部署から物理的に隔離しています。図左側がイン部署ですが、この中でも細かく区分しています。まず、全銘柄イン部署です。これは全ての銘柄の法人関係情報を恒常的に取り扱うことが想定されている部署。具体的には、企業にM&Aや資金調達などの提案、執行を行うインベストメント・バンキングの部署になります。なお、後ほど御説明しますが、全銘柄インといいましても、部署として全銘柄のイン情報を扱うという意味でして、個々の社員が全銘柄の情報にアクセスできるということではもちろんありません。限定された銘柄の法人関係情報のみを取り扱うことが想定されている部署を、銘柄限定イン部署としています。これは各地域の支店で投資銀行ビジネスを担当する企業金融課がありますが、その支店が担当する銘柄の法人関係情報を扱うことはあり得ますが、他の支店が担当する銘柄の法人関係情報を取り扱うことは、通常は想定されないため、このような分け方をしています。さらに、イン務署のサポートを行う部署、例えばコンプライアンス、検査、インターナル・オーディットなどの部署もイン部署として定めています。

 次に、右側のアウト部署です。基本的には、イン部署以外の部署ということになりますが、具体的には、営業部門、グローバル・マーケッツなどの部署が該当します。弊社グループでは、アウト部署のビジネスフローのほうが圧倒的に多いため、図の面積でもそれを表現しています。これらの部署については、法人関係情報を取り扱うことは想定しておらず、取り扱う場合は、コンプライアンス部門により厳格に管理することとしています。アウト部署の中でも受動的に法人関係情報を取得しやすい立場にある部署、具体的には、IT関係の部署ですとか、役員秘書などになりますが、これらの部署についても分けて管理することにしています。さらに右側には、イン部署とそれ以外の部署の隔離などについて記載しています。まず、物理的に、視覚、聴覚、その他認識手段が及ばない状態とするため、壁やフロアを分けることで、イン部署とその他の部署を分けています。さらに、業務上使用するフォルダのアクセス権を限定したり、フロアそのものへのアクセス、つまり、イン部署のフロアに入れる人間も限定しています。また、部門内においても情報管理の方法を定めたルールを作成し、定期的な研修を行ったり、誓約書を徴取するなどして、継続的に周知徹底をしています。さらに、全銘柄イン部署の中での管理ですが、案件情報についての重要度や組織、役職などをもとに、案件情報ごとに共有する者の範囲を設定し、業務遂行上必要な範囲でのみ共有することにしています。また、役員についても、その管掌に応じて、イン部署、アウト部署に分けて、隔壁を設けて管理しています。

 次に、2ページ目を御覧ください。顧客情報管理の詳細ですが、まず、法人関係情報や情報共有の手続、いわゆるウォールクロスと呼ばれているものですが、これらの管理は全てコンプライアンス部門が管轄する専用のシステムで対応しています。また、弊社においては、法人関係情報を含む全ての顧客情報について、厳格かつ限定的な解釈に基づき、“Need to know”原則の対象としています。法人関係情報を管理するシステムは、国内と海外で別のシステムとなっていますが、相互のシステムで相互連携しています。また、このシステムへのアクセス権は、各地域のコントロールルーム、コンプライアンス部門ですが、制御しています。次に、法人関係情報以外の情報についてですが、これも所定のルールにのっとって、職責や職務によりアクセス権限を付与し、部署ごとの情報管理責任者の責任のもとで厳格に管理しています。各部署ごとのアクセス権限を付与されている範囲内であっても、さらに“Need to know”原則を徹底し、業務上の必要な理由がないままに顧客情報を参照したり取得したりすることは禁止されています。“Need to know”原則については、先ほども申しましたとおり、法人関係情報を含む全ての顧客情報が対象となり、アクセス権限を付与された役職員が業務上の必要性がある場合にのみ利用することが可能で、必要がない場合の顧客情報の参照や取得は禁止されています。特に法人関係情報については、規定上で必要な場合や必要な範囲について、厳格かつ限定的に解釈する旨を定めています。次に、法人関係情報を共有する場合の手続、ウォールクロスについてですが、ウォールクロスして情報共有するためには、コンプライアンス部門と部店長といった複数の承認が必要です。特に、コンプライアンス部門の承認においては、目的や共有する対象者の適合性、タイミングなどについて審査し、“Need to know”原則に基づいて、承認の可否を厳格に判断します。なお、全銘柄イン部署内での共有については、ウォールクロスの手続は不要ですが、“Need to know”原則により、厳格かつ限定的にしか共有されません。役職員の自己投資については、イン部署やアウト部署といった区分に応じて、自己投資の対象となる銘柄や投資可能となる期間を制限しています。原則として専用のシステムを通じた自己投資の承認が必要なフローとなっています。下には、法人関係情報の管理プロセスやウォールクロスの手順、検証体制について記載しています。

 次、3ページ目を御覧ください。弊社グループの利益相反管理についてです。「野村グループ利益相反管理方針」と「野村グループ内における利益相反取引管理規程」に基づいて、野村グループ全体でグローバルに一元管理を行っています。管理体制の詳細ですが、まず、野村ホールディングスに利益相反管理の統括部署を設置し、グローバルで、グループ全体で、一元的なシステムにより管理しています。この利益相反に関わるシステムへのアクセス権は、コントロール・ルームのみに付与されており、管理責任者は各地域のコントロール・ルームのヘッドです。なお、日本でも、別途、独自のデータシステムを構築していますが、グローバルなシステムに登録し、日本、米国、欧州、アジアの4拠点で相互にチェックを行う体制をとっています。グループ内で管理の対象となるのは、右上にあるとおり、野村ホールディングスや金融商品取引業を営む会社、銀行業を営む会社、海外で金融商品取引業や銀行業と同様の業務を営む会社、その他、金融関連業務を行う会社です。

 次に、利益相反の対象となる取引は、左下に示しているとおり、主に4つの類型があります。これらの対象取引の中で野村グループで多い類型は、M&Aに関するアドバイスや、株式公開に関するアドバイス、自己投資、資本政策に関わる引受けです。利益相反の恐れがある取引については、情報隔壁の設置や取引条件の変更、ウェーバー条項による対応などが考えられますが、それぞれ十分に機能するか、レビュテーション・リスクも含めた慎重な検討が必要です。なお、右下に記載しているとおり、主立った利益相反のパターンも銀行と証券では異なると思われます。典型的な利益相反の二通りのパターンは、顧客と金融機関の利益が相反する場面と、顧客同士の利益が相反する場面があると思います。顧客と金融機関の利益が相反する例としては、M&Aに関するアドバイスを提供する一方で、当該顧客の相手方に対する自己投資を行うようなケースがあります。顧客同士の利益が相反する例では、M&Aにおける売手と買手、または複数の買手候補にアドバイスを行うケースがあります。この2つの利益相反の性質は異なっていますが、証券会社は融資機能がそれほど大きくないため、一般的には2つ目、つまり、顧客同士の利益が相反する場面が多いです。一方で、銀行は融資機能が大きいことから、むしろ顧客と銀行との利益相反が生じる場面のほうが大層なのではないかと想定しております。一口に利益相反といいましても、そうした性質の違いにも十分留意する必要があると思われます。

 最後に4ページ目です。利益相反のチェックフローについてですが、野村グループの子会社は、先ほど御説明した類型の取引を行うに当たっては、契約締結前までにコンフリクト・チェックを実施することとしています。具体的には、まず、子会社から利益相反管理統括部署に対して、取引の概要や役割について申請します。このタイミングは、提案活動を開始する段階や機密保持契約を締結する段階、マンデート取得時など、お客様との関係によって変わってきます。次に、申請を受けた利益相反管理部署では、管理システム内に登録されている未終了案件や、各コントロール・ルームを通じて申告される潜在案件と突合し、利益相反の有無をチェックします。そして、利益相反管理部署から申請をした子会社に対して、利益相反が生じない旨の回答や、利益相反が適切に管理されることを確認した旨の回答を行います。この回答があるまでは取引を行うことはできません。これらの回答状況はシステムに登録され、案件の中止や終了が確認されるまでの間、利益相反のチェック対象機能取引として管理されます。また、ウェーバー条項を条件とした案件については、定期的な事後チェックにおいてウェーバー条項の反映状況を確認しています。グループ全体で、直近1年間、利益相反のチェック件数は約2,000件です。条件付の承認となったものが10%弱、承認が下りなかったものも数件あります。条件付や承認が下りなかったものが少ないのは、そもそもビジネス部門が既に多くの経験を有していますので、自ら利益相反があると判断した取引を中止するなどしているケースが相当数あることが背景にあります。そうした場合は、総括部署に申請を出す前に中止しますので、先ほど申し上げた件数には反映されていません。なお、条件付や承認が下りなかった案件の中には、調整のためにコンプライアンス統括責任者にエスカレーションを実施している件数も若干数あります。ただし、ビジネス部門とコンプライアンス部門との間で、利益相反となり得るケースの共有化が図られていることもあって、エスカレーションにつながるケースはまれでございます。

 以上、弊社の管理体制について御説明申し上げました。ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、今いただきました御説明を踏まえて、委員の皆様方に御議論をお願いしたいと思います。

 今回も多くの委員に御発言いただく機会を確保する観点から、恐縮ですけれども、御発言のお時間の目安としては、3分以内程度を目安にしていただければありがたく存じます。2分を過ぎますと、事務局から、残り1分のチャットを発言中の委員にのみ送付させていただきますので、御参考にしていただければと存じます。なお、委員の皆様には、もし銀行や証券会社に対して御質問をいただくような場合は、時間の関係もありますので、質問、それから御回答される方も含めてですが、簡潔にお願いできれば大変ありがたく存じます。いろいろお願いをして大変申し訳ありませんけれども、委員の皆様方、どなたからでも、御質問、御意見ございましたら、お出しいただきたいと思います。チャットにてお知らせいただければありがたく存じます。いかがでしょうか。

 それでは、佐々木委員、どうぞお願いいたします。

【佐々木委員】  
 ありがとうございます。御説明どうもありがとうございました。大変勉強になりました。すばらしい資料がそろっていて、各社御説明いただけないのが大変残念です。時間が限られていますので、本当はこの御説明に対する質問をしたいのですけれども、3分めどということで、絞って私の意見を言わせていただきたいと思います。

 今日の御説明、正直、予想どおりというのは失礼かもしれないですけれども、情報管理、優越的地位の濫用防止について、非常にしっかりしたシステムであると感じました。ただ、あえて言うならば、小さい金融機関や、例えば、小さい地銀とか、老舗の小さい証券会社が、もちろんそういうところは業務も違うところもあるとは思うのですけれども、同じようなシステムを持っているのかどうかというのは、必ずしも分からないので、知りたいところだと思いました。

 今回、事務局からの御議論いただきたい事項というのは、かなり具体化されまして、ありがとうございます。非常に分かりやすく、議論しやすく書かれていると思いました。9ページの一番下のところ、モニタリングの強化ということにも触れられているのですが、これは金融庁に対する質問になるかと思うのですが、事業体や、第三者からの訴えを吸収するところはあるのかというのが質問です。実は私自身、金融行政モニターの委員をしていますので、窓口がいろいろあるのは存じ上げているのですけれども、実際そういった意見、優越的地位の濫用とか、利益相反といったことの意見を引き上げるところがあるのか、現在、そういうこともできているのか。あるいは、今後、このことに伴って、そういった意見の引上げを強化する必要があると思うかということをお伺いしたいと思いました。これまでも事業体がいろいろ優越的地位を濫用されそうになったということに関する例えば記事とかは、今まで私も読んだことがあるのですけれども、実際そういうことが取り上げられることはあるのかというのが質問です。

 あと、意見ですけれども、これに関連して、やはりそういうような苦情とかを訴えるというところまでいかなくて、勝手に忖度したり、黙って終わってしまうということのほうが多いのではないかと思うのです。そうなると、やはり飯山参考人が初めにおっしゃっていらしたのですけれども、やはりファイアーウォール規制とその周りというよりも、本質的な当局によるエンフォースメントというのを検討していかなければいけないのではないかということを、今回どうしてもそこにいってしまうのではないかと思います。利益相反のそういった文献などを探すと、神田座長や神作委員のお書きになったものがたくさん出てきまして、私も勉強しようと思って読んでみたのですけれども、私がこういうことを申し上げるのは非常に僣越な感じもいたしますけれども、ファイアーウォールに限らず、優越的地位の濫用や利益相反を、私がよく指摘しているように、におわせる程度のものを防止するには、やはりファイアーウォールだけではなくて、強いエンフォースメントみたいなものが必要なのかということの議論を本格的に検討する必要があるのではないかと感じております。欧米では・・・という議論が結構出てくるのですけれども、アメリカでもグラム・リーチ・ブライリー法までは銀証の障壁がありました。ファイアーウォールが緩和された後、リーマンショックが起こったときに非常に批判が大きくされたことは有名です。ですので、アメリカも一枚板でファイアーウォール撤廃でよくなったというわけではないということも頭に置いておくべきではないかと思いました。

 以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。事務局への質問があったと思います。お願いします。

【太田原市場課長】  
 モニタリング強化につきまして、関連する御質問、御意見ございまして、ありがとうございました。窓口があるのかということについて言えば、私も監督局などに聞いたところ、一応そこは現在も設けられているということでございますけれども、もう少し分かりやすくするということも、当然、今後、一案かとは考えております。

 以上でございます。

【神田座長】  
 ありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。

【佐々木委員】  
 ありがとうございます。

【神田座長】  
 ありがとうございました。多くの方からチャットをいただいておりまして、その順番でいきますと、神作委員、有吉委員、上柳委員の順になると思います。神作委員、お願いいたします。

【神作委員】  
 どうもありがとうございます。国内金融機関の顧客情報管理について、銀行と証券会社の方から御説明をいただき、大変ありがとうございました。御報告をいただいて、共通の部分も多いと思いました反面、銀行と証券会社との間に幾つかの違いがあるということも御教示いただいたように思います。

 法人関係情報及び非公開顧客情報については、1つ目の違いとして、パブリック部門の範囲が、銀行のほうが証券会社に比べて限定的に捉えられているように思われました。第二に、部門内における事前承認の承認権者について、銀行は、部室店長の承認を必要とするのに対して、証券会社は、部室店長と共に、コンプライアンス部門の事前承認を求めることが多いという点が異なっているように思いました。特に、2番目の誰が事前承認をするかということによって、情報管理における非常に重要な原則である“Need to know”原則の適用の仕方が変わってき得るように思います。本来、法人関係情報については、単なる顧客保護だけではなく、市場取引の公正性や信頼の確保というようなことも目的としており、コンプライアンス部門の判断が求められるべきであると思います。また、利益相反に係る情報管理については、銀行、証券会社共に、利益相反管理システムに登録し、コンプライアンス部門が利益相反チェックを実施するという点で、さらに共通している部分が大きいと感じました。もっとも、利益相反管理についても、M&A案件については、ほぼ両者で共通しているように思いましたけれども、利益相反の捉え方が銀行と証券会社との間では、やや感度が違うという印象を受けました。

 もし可能であればご質問したい点がございます。情報管理について今申し上げたような違いはあるにしても、大筋においては、銀行においても証券会社においてもきちんとなされているという印象を受けましたけれども、情報の共有や、特に利用が認められる場合、すなわちウォールを越えるような場合におけるアフターフォローと申しますか、誰がどのように情報を共有し、それがどのように利用されたのかということについて、きちんと記録がとられ、追跡される仕組みが必要と思われます。このことは、先ほど、佐々木委員からも御指摘があったかと思いますけれども、金融庁が法人関係情報の管理や利益相反管理体制について監督をする際にも大変重要なことであるように思われます。共有後の情報の追跡可能性とか記録のとり方等について、もし可能であれば質問させていただければと思います。

 最後に、これは私の意見でございますけれども、情報授受規制というのは、今日、話題となっています3つの弊害を事前予防的に規制するものであると理解しています。3つの弊害といいますのは、法人関係情報、利益相反管理、それから優越的地位の濫用でございますけれども、これら3つが、より直接的、実効的に管理されてコントロールされるのであれば、顧客の情報授受の段階での同意に大きく依存する法制よりも、実質的には顧客の保護に資するとともに、市場の公正や信頼性の確保にも資すると思われます。もちろん顧客の同意をとるということは、例えば利益相反の局面において、実際にその情報を利用して、あるアクションをしようとしているという段階では大変有効と思われますけれども、情報授受の段階での顧客の同意というのは、3つの弊害がきちんとコントロールされているのであれば、基本的には不要ではないかと考えられます。したがいまして、手続規制の見直しが行われるべきだと思われますけれども、顧客の属性、特に個人か法人か、さらに、法人の中でも大企業か中小企業かということを区別するとともに、一般的に申しますと、金融機関の側の情報管理、利益相反管理及び内部統制体制の充実度などに応じて、グラデーションのある規制を考えるということもあり得るかと思います。

 最後の点は私の意見でございましたけれども、もし可能でしたらば、情報管理で、“Need to know”原則に基づいて情報の共有がなされた後の情報管理や追跡、記録などについて、御教示を賜れればと存じます。私からは以上でございます。どうもありがとうございました。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。今の神作委員からの御質問について、三菱UFJフィナンシャル・グループと野村證券、もしお答えいただけるとありがたいのですけれども、まず、林参考人、いかがでしょうか。

【若林参考人】  
 三菱UFJフィナンシャル・グループの若林と申します。

【神田座長】  
 若林参考人、よろしくお願いします。

【若林参考人】  
 よろしくお願いいたします。それでは、先ほど、神作委員から御質問いただきました情報共有後の追跡可能性という点について、弊行での取扱いを説明させていただきます。

 まず初めに、情報共有の範囲ですけれども、弊行では、プライベート部門からパブリック部門に対する情報共有は行われていない、すなわち、ウォールクロス自体が行われていないということははっきりさせておきたいと思います。加えて、プライベート部門の中での情報の共有が行われるに際しては、情報の共有自体は、御認識のとおり、各部室店長の判断で情報の伝達が行われているわけですけれども、その伝達は、システムによって一人別に全て管理がなされております。したがいまして、情報がいつ誰に伝わったのかということを、システム上を含めて、一人別に記録に残しております。加えて、後々の追跡モニタリングに関しましては、定期的にコンプライアンス部署のところで、その案件がどういう状況になっているのか、ステータスの管理も含めて、システムを通じてモニタリングを行って、適切な伝達、適切な範囲で情報が取り扱われているということを管理しております。

 以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。野村證券の飯山参考人、いかがでしょうか。

【月野参考人】  
 本件につきまして、コンプライアンス部門から実情を御説明させていただきます。取引コンプライアンス部の月野と申します。

 共有の後、追跡ということでございますが、先ほど飯山参考人からも説明がありましたとおり、ウォールクロスをする、このときには、私どもコンプライアンスの承認が必要ということでございますが、私どものほうで承認者というのは特定を当然しております。その後、その社員がアウトの部署、すなわちお客様に有価証券の勧誘活動をするような部署の者でございますので、これにつきましては、先ほど飯山参考人から説明いたしました資料の2ページ目、管理体制の検証ということで右下に掲げてございますけれども、まず勧誘活動をするような社員のところについては、取引の審査、口座のほうから拾うような形でございますけれども、審査を行う。それから、ウォールクロスがされた相手先がリサーチ系の者であれば、取得後のモニタリングということでリサーチ審査を行いますし、また、手続を経ずに情報が伝播されたことがないかという観点で、弊社に法人関係情報が入った後は、別にアナリストがウォールクロスされていなくても、このリサーチ審査を行っております。そのほか、部門ごとに定めた管理者によるインコミュニケーションモニタリングということで、eメール、それから、特に勧誘活動を行う部門におきましては、お客様との会話の状況ということについてはモニタリングを実施しております。保有しているほうのIB部門、こういったところは適切に情報管理しているのか、情報をアップデートしているのかという観点で、部の管理者による定期点検をシステムを通じて、また、登録者に対する定期点検を3か月ごとの自動配信というところでモニタリングをしております。

 簡単ではございますが、以上でございます。

【神田座長】  
 月野参考人、どうもありがとうございました。

【神作委員】  
 大変御丁寧に回答いただきまして、ありがとうございました。

【神田座長】  
 よろしゅうございますでしょうか。どうもありがとうございました。それでは、続きまして、有吉委員、どうぞお願いいたします。

【有吉委員】  
 有吉でございます。MUFGと野村證券の非常に分かりやすい御説明、ありがとうございました。これまでのこのワーキング・グループでの議論に加えて、御報告にありました各金融機関の体制整備の状況などを踏まえますと、事務局説明資料の方向性と同じなのではないかと思いますけれども、原則として、ファイアーウォール規制は維持しつつ、特に負担が重い部分を緩和するという方向ではないかと私としては思っているところでございます。

 その上で、3点ほど、具体的な現状について質問をさせていただきたいと思います。1点目は、恐らくMUFGにお聞きするのがよいかと思うのですが、銀行系の証券会社におきまして、証券会社自身で取得した顧客情報を取り扱うということと、それから現状のファイアーウォール規制のもとで、グループの銀行から提供を受けた顧客情報を取り扱うということで、具体的にどういうふうに負担が違っていて、特にどういうことが大きな負担になっているのかについて、御説明をお願いできればと思います。どの部分の規制を緩和すれば有用なのかということを検討する参考になるのではないかと思い、質問させていただく次第です。

 それから2点目につきましては、“Need to know”原則というのが1つキーワードといいますか、キーポイントとして出てきていると思うわけでございますけれども、MUFGと野村證券のそれぞれ御説明を伺っている中で、よく分からなかったのは、職務遂行の必要性、あるいは業務上の必要性というものを考えるときに、当該個別案件との関係で必要だということで判断をしていくものなのか、それとも、もう少し広く一般的な情報として必要であるというような場合でも、“Need to know”原則を満たすというような運用なのか、この辺りの判断枠組みを教えていただければと思います。この点は、場合によっては金融機関ごとに違うということなのかもしれませんので、もし事務局のほうで把握されていることがありましたら、併せて教えていただければと思います。

 それから3点目は、両金融機関の方からの御説明の中で、法人関係情報についてどう取り扱うかという詳細な御説明があったわけでございますが、特に金商法で定義されるところの法人関係情報というのは、定義自体が非常に曖昧でして、幅のある概念だと理解しております。個別の状況で、どういった情報が法人関係情報に当たるものとして管理が必要なのかということは、実務的に非常に頭を悩ます問題と感じているところなのですが、お聞きしたいのは、日頃、銀行で法人関係情報と捉えているものと、証券会社で法人関係情報と捉えているものと、目線がそろっているのか、それとも、ずれがあるのかということでございます。この点もMUFGにお聞きするのと、事務局のほうで情報を収集している中で何かお気づきの点があれば教えていただきたいということでございます。

 以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、順次、まず1点目についての三菱UFJフィナンシャル・グループ、いかがでしょうか。

【若林参考人】  
 三菱UFJフィナンシャル・グループの若林と申します。よろしくお願いいたします。それでは、有吉委員からいただきました御質問3つ、御説明させていただきます。

 まず1点目、銀行系の証券会社において、自身で取得した情報と、銀行から伝達を受けた情報、それぞれについて取扱いの違いがあるのかどうか、あるのだとすれば、どういった負担となっているのかという御質問と理解しております。証券会社自身で取得した情報と、銀行から伝達を受けた情報について、取扱いに差異はございません。情報に1つ1つ紐づけして管理していくわけではないので、情報自体は取扱いに差異はございません。ただし、法人関係情報につきましては、先ほども申し上げましたとおり、一人別で管理しておりますので、法人関係情報は、この目的のみに用いるという管理を徹底しております。ただし、それ以外の情報につきましては、特段紐づけの管理というものは行っておりません。

 続きまして、2つ目、“Need to know”原則における業務上の必要性が個別案件の関係で必要かどうかと、どのように判定しているのかという御質問と理解しております。こちらにつきましては、個別案件紐づきでいただいている情報は、通常、秘密保持契約を個別に結ばせていただくことがあり、その場合には、契約書上に、いただいた情報をその目的以外に使用しないということが明記されております。したがいまして、そういった極めて秘匿性の高い個別案件に紐づきでいただいた情報は、あくまでもその個別案件との関連で必要かどうかという観点で“Need to know”原則を判断することになります。ただ、一方で銀行の場合には、そういった個別案件だけではなくて、経常的な為替の取引や預金の取引がございます。そういった情報については、もう少し違う、幅広い観点で、業務上の必要性があるのかないのかというのを判断した上で情報伝達を判断することになります。

 3点目の御質問、法人関係情報の定義自体、曖昧なものがあるという点ですが、これは銀行と証券で目線がそろっているのかどうかという質問と理解しております。法人関係情報の定義としては、「投資家の投資判断の影響を及ぼし得るもの」と、非常に曖昧な概念です。弊行の取扱いでは、営業店が、これを法人関係情報として管理するべきかどうか迷う案件が日々多数起きております。しかしながら、投資家の判断に影響を及ぼし得るか否かという観点で考えると、及ぼし得ると考え得るものは非常に多くございます。それは、法人関係情報ではなくても、利益相反管理に関係する情報であれば当然のことです。将来的にM&Aに発展するような情報であれば、当然、投資家の判断に影響を及ぼし得ると考えられますので、法人関係情報に準じた取扱いを行っています。準じた取扱いとはどういった取扱いかと言うと、法人関係情報を登録しているシステムに実際に入力し、法人関係情報と同じ取扱いをしております。したがって、そうした情報は法人関係情報ではないものの、誰が、どういった情報を、いつ取得しているのかということを一人別で管理を徹底しております。

 以上が回答です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。野村證券、もし2点目、3点目について御発言があれば承りたいのですけれども、いかがでしょうか。

【月野参考人】  
 それでは、野村證券のコンプライアンスから若干、私ども業者の状況ということで補足させていただきます。取引コンプライアンス部の月野でございます。

 この“Need to know”原則ということに関しましては、案件ベース、またその案件の中でも、案件の秘匿性の高さということによって、そのメンバーをさらに限定するということで管理をしております。

 それから、法人関係情報の範囲というところでいきますと、私ども証券界、自主規制団体の日本証券業協会で、法人関係情報の管理体制の整備に関する規則と、さらにその元で、法人関係情報の管理規定のひな型を作成しておりまして、各社これをベースに、各社における法人関係情報として扱うものを決めております。おおむね一般的な感覚のところでいきますと、取引所から適時開示基準として発表されている適時開示が求められる会社情報がございます。やはりこれは、私どもの考え方としては、適時開示が求められているものというのは、投資者への投資判断に影響があり得るものということでいきますと、こういった私どものモデル規定も適時開示の部分とある程度重なるところは多いかと思っております。

 簡単ではございますが、以上でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。事務局からはございますでしょうか。

【太田原市場課長】  
 有吉委員から御質問がありました2点目、3点目について、関連することで、私の方で把握しているものについて申し上げたいと思います。

 まず、“Need to know”原則の範囲でございますが、先月、紹介いたしました外資系金融機関にも同じような話を質問させていただきまして、外資系からは、およそ半数程度が当該案件の遂行に必要な情報というような解釈で運用しているという明示的な答えがございました。同様に、事前に国内の金融機関に伺った中では、おおよそそのような限定というよりは、もう少し職務の遂行に必要というようなお答えをいただいていたというふうに受け止めております。

 3点目の法人関係情報について、銀行と証券でずれがあるかということは、私どもがいろいろヒアリングした際には、そこまでのずれというのは明示的には認識しなかったところでございます。

 以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。有吉委員、よろしゅうございますでしょうか。

【有吉委員】  
 ありがとうございました。

【神田座長】  
 それでは、次に、上柳委員、どうぞお願いいたします。

【上柳委員】  
 ありがとうございます。1点意見というか要望を申し上げたいと思います。

 事務局の資料の4ページの図のところに関連いたしますけれども、金融機関の中で、部門間で情報共有をする場合に、現状は、部室店長の事前の承認が主なコントロールということになっているようですけれども、やはりここはコンプライアンス部門もといいますか、社内ではあっても、ビジネスの観点だけではなくて、コンプライアンスなり、あるいは顧客情報を保護するという観点からの目が入るべきだと思います。ですので、ぜひそのような運用にしていただく、あるいは、さらにルール化も含めて考える必要があると思います。

 ここで言う部門が何を指すのかとか、あるいは“Need to know”原則の中身であるとか、あるいは、フォローアップといいますか、時限措置というのか、必要がなくなったときには消滅させるとか、そういうことも付随的に考えていかなければいけないと思いますけれども、やはり社内での目を確保することが必要だと思います。私自身は、法人にオプトアウト規制が残っていても大きな障害ではないのではないかという心証を抱いておりますけれども、その論点とは別に、コンプライアンス部門の関与が重要だというふうに思いました。

 以上でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、チャットの順番で、野村委員、原田委員、松本委員の順になると思います。申し訳ないのですけれども、だんだん時間が少なくなってきているので、できるだけ簡潔にお願いできればありがたくは存じます。野村委員、どうぞお願いいたします。

【野村委員】  
 どうもありがとうございます。詳細な説明、大変勉強になりました。ありがとうございました。

 事務局資料1の8ページから9ページにかけて整理されておりますけれども、私も、オプトアウト方式を維持しつつも、電磁的方法の利用を含め、手続面の簡素化等々を行うという方向性なのだろうと思っているところです。

 また、既に幾つか御指摘があった点でございますけれども、もし仮にファイアーウォール規制を見直すような議論をより踏み込んで行うということであるならば、ファイアーウォール規制という局所的な話にとどまるのではなくて、金融サービス全般を包括するような法律の制定、金融サービス法と呼ぶかどうかは分かりませんけれども、そういったような抜本的な議論を行うべきではないかと思います。包括的な法令のもとで、金融サービス全体において、いかに不正競争を防止するのかといった観点が重要ではないかと考えております。何しろ多面的な議論を要することではないかと思います。

 私からは以上です。ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、原田委員、お願いいたします。

【原田委員】  
 ありがとうございます。意見を述べさせていただきます。

 ここまで何回か議論があり、その中で再三出てきて、今回も出てきているのが、顧客本位で考えること、顧客の最善の利益を図ることであります。それで、今までヒアリングなどを行っていただいていました。現状、限られた時間の中で何ができるかというと、まずは方向性をしっかり打ち出すということが先決ではないかと思います。顧客の情報共有については、今日いただいた中では、利益相反、優越的地位の濫用の防止をする体制があると銀行側からの報告がありました。これは非常に心強いとは思うのですけれども、大手行の体制についての報告ベースでありまして、この後、神作委員からは、認証の実務対応に違いがあるという御意見があり、有吉委員から目線に違いがあるといったようなお話もございました。その後、御回答いただいたことを踏まえましても、やはり対応には多少の温度差が、実務面での対応でみると温度差があるように感じました。過去の事例を振り返ってみても、優越的地位の濫用の事例は1つあるだけでして、件数としては非常に少ないのですけれども、それでも顧客の声としては懸念するという意見が一定割合あるということは、無視できません。法人関係情報の取扱いについては依然として注意することは多々あるのだろうという認識を持ちました。

 関連してですが、グローバル化している今、国際金融センターとしても動き出している今ですので、海外と比べて遜色ない罰則の強化について議論をスタートする場を、これは金融審ではないのだろうという認識でおりますけれども、しかるべき場で議論を始めていただきたいということも述べさせていただきます。

 まとめますと、企業も金融もグローバル化していますので、国内の市場の奪い合いよりも全体のパイの拡大を模索するという観点からの緩和を考えていただきたいということになります。

 資料1の9ページにあります「議論いただきたい事項」のところに書いてありますけれども、もう1つの視点としましては、銀行法令のみならず、証券会社に対する規制と同等の規制を課すということも、緩和するなら同時に考えることが必要ではないかと考えました。付け加えるとしましたら、紙ベースでの仕事が増えないデジタル対応を重視する方向性も持っていただきたいという意見になります。

 以上でございます。ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、松本委員、どうぞお願いいたします。

【松本委員】  
 御説明ありがとうございます。大変勉強になりました。各社のお話を伺って、全体として顧客情報管理、利益相反管理とも、管理体制がきちんと整備されているという印象を持ちました。現状、このような各社による運用体制の構築、当局による管理監督体制で大きな問題が生じていないようであれば、今回のファイアーウォール規制の緩和を行うにしても、まずは原則を示して各社に運営を任せるプリンシプルベースの進め方が適しているのではないかと考えております。特に今回の緩和の検討目的の1つに銀証一体となった価値ある顧客への総合提案があるならば、過度にルールベースで縛るのではなく、大きな原則のもとで、各社の創意工夫を引き出す仕組みが重要かと考えております。

 また、今回のファイアーウォール規制緩和の対象を大企業に限定するのか、中小企業に広げるのかといった議論につきましては、中小企業においても、今後、事業承継ニーズ等が高まってくることもありまして、中小企業まで広げるべきではないかと私は考えております。その中で、もし結果的に緩和の対象を大企業に限定することになったとしても、大企業と中小企業で事細かにルールが異なってしまうと、金融機関側に顧客管理の負担増大が起こってしまうということも想定されますので、ルール策定におきましては、顧客保護と業務負担のバランスに配慮していただければと思います。

 私からは以上となります。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、チャットの順で、井口委員、松尾委員、福田委員、武田委員に順次御発言をお願いします。井口委員、どうぞ。

【井口委員】  
 よろしくお願いします。まず、関係者の皆様、御説明ありがとうございました。利益相反管理体制についてよく分かりました。

 大変難しいところと思っておりまして、個人的にも意外だったのが、大企業でさえ、情報管理を自らしたいという希望が強いというようなことでした。情報管理ということが、すごく重要になっている状況ですので、このような企業の意思というのは尊重する必要があるのではないかと思っております。

 ただ、一方で、そもそものこの審議会のテーマでもあります日本の金融の競争力強化、資本市場の国際化の観点というのも欠かせないと思いますので、可能な範囲内で、できる限り緩和する方向が望ましいのではないかと思っております。

 簡単ではありますが、以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。では、続きまして、松尾委員、どうぞお願いいたします。

【松尾委員】  
 よろしくお願いいたします。本日は、詳細で分かりやすい御説明をどうもありがとうございました。お尋ねしたかったことについては、既にこれまでの御質問の回答の中でお答えいただきましたので、意見だけ申し上げます。

 事務局の説明資料の9ページ目のところに沿って申し上げますけれども、まず、ファイアーウォール規制を見直した場合の弊害の防止については、法人関係情報の管理、不公正取引の防止、あるいは利益相反の管理については、本日の報告から見ましても、十分に個別の対応といいますか、これらを直接の目的とした規制で対応できるのではないかと、神作委員が指摘された運用面での違いは、なお重要な差異として残っておるかとは思いますが、銀行グループでも十分な管理体制がとられているというような印象を受けまして、これらの観点からは、事前の情報授受を禁止するという現在の規制の在り方は見直されるべきだろうと思います。

 他方で、優越的地位の濫用に関しましては、前回示されました事業法人のヒアリング結果を見ますと、銀行等からの提案を受けても、自分のことは自分で決められるという事業法人の御意見と、銀行グループからの提案については拒絶できないというような前提で回答しておられるところが見られたところでありますので、そうしますと、やはりそういった自分のことは自分で決められるグループと、なお銀行からの提案については、圧力といいますか、そういったものを感じている、感じざるを得ないグループについては、規制の適用の仕方といいますか、ファイアーウォール規制の適用の仕方を変える必要があるように思いました。

 そうしますと、オプトアウトの中で、どちらのグループについてどれだけ緩和していくかという議論になるのかと思いまして、基本的な方向性としては、事務局資料でお示しいただいたところに賛成でございます。以上です。ありがとうございました。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、福田委員、どうぞお願いいたします。

【福田委員】  
 ありがとうございます。2008年の金融審議会の答申から10年以上たっていて、それから金融をめぐる環境も大きく変化しています。そういった中で、ファイアーウォール規制に見直しをするということは私も賛成です。

 また、ファイアーウォール規制を今までやってきた理由の中で、顧客情報の保護、あるいは利益相反の管理という点に関しては、御説明を受けた範囲では、取り立ててファイアーウォール規制がなければ実現できないものかどうかというと、必ずしもそうではないと思います。もちろん証券会社のほうと、それから銀行のほうでは管理の仕方が違うという問題はありますけれども、これはそもそもファイアーウォール規制があったからそういうことが生じているということもあるのだろうと思います。

 それから、銀行の優越的地位の濫用に関しても、昔ほど大きく気にする必要はなくなってきており、メインバンク制が非常に強かった時代の日本と比べれば状況は変わってきているのだろうと思います。ただ、優越的地位が完全になくなったのかと言われると、そういうことはないと思いますし、場面場面ではやはり優越的地位の問題というものは残ると思いますので、それに十分留意するという形で、一定の範囲の中で緩和していくということに私は賛成です。そうした中で、問題があったときに、いかにそれを処理するかという外部的な監視の目というものも重要です。規制緩和と同時に、監視の目を金融庁の努力も含めて強めていくということは大事だと思います。

 私からは以上でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、武田委員、どうぞお願いいたします。

【武田委員】  
 ありがとうございます。本日は、三菱UFJフィナンシャル・グループ、野村證券に、大変詳しく御説明いただきまして、ありがとうございました。顧客情報管理や利益相反管理に対し、しっかり取り組まれているということが理解できました。その上で、意見と質問を組合せて、2点、申し上げたいと思います。

 1点目は、“Need to know”原則に関する質問でございます。林参考人の資料の7ページに、「一般原則」との記述がございます。「一般」といった言葉が少々気になったのですが、これは御社の一般ルールか、銀行業界全体としての一般原則として掲げているものなのか、どちらでしょうか。恐らく前者であると考えますが、その場合、銀行業界全体としての取組、原則が何かございましたら、ぜひ御教示いただければ幸いでございます。

 2点目は、意見とも組合せての質問になりますが、銀証ファイアーウォール規制の見直しを行うということであれば、本日、議論がございましたとおり、顧客情報管理、利益相反、優越的地位の濫用に対しては、どうしっかり対処していくかが一番重要だと思います。同時に、これまでも、この場でも強調してまいりましたとおり、規制の見直しによって期待される成果、ゴールが実現できるかどうかが極めて重要と思います。顧客、経済、そして社会にとって、どのようなメリットがあるかということですが、金融サービスの高度化と目利き力の組合せの結果として、企業のイノベーションが創出され、グローバルで日本企業が競争力を高めて、日本の成長力向上に資するかどうか、この点が鍵だと思います。したがって、銀証ファイアーウォール規制の見直しが仮に行われ、複合したサービスが提供できる体制は整うとしても、サービスの提案力、目利き力やグローバルでの展開力、こうした質が問われるように思います。

 つまり、規制の見直しを行うのであれば、先ほど申し上げた3点の懸念にしっかり対応するとともに、そのコストをメリットが上回る形に持っていく必要があると思います。本日は、いろいろな体制面について御説明をいただきましたけれども、金融機関グループ自身が変わるべき点についても、何か御意見がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございます。

【神田座長】  
 ありがとうございました。それでは、三菱UFJフィナンシャル・グループ、いかがでしょうか。

【若林参考人】  
 三菱UFJフィナンシャル・グループの若林です。今御質問いただきました弊社の資料にある一般原則とは、これは弊社の中の一般原則なのか、それとも外部、対外的な一般原則なのかという点について回答させていただきたいと思います。

 こちらにつきましては、弊社の中での一般原則として認識しているものであり、同じ資料の右側に、いわゆる“Need to know”原則ということで列挙させていただいております。背景としては、情報管理にまつわる各種法令、具体的には、個人情報保護法や守秘義務に関する考え方、あとは情報セキュリティの一般的な考え方を総合的に勘案して、弊社の中の内規として定めております。しかしながら、恐らく背景としている法規制等は各社とも同じですので、他のメガバンク等でも、ほぼ同じ考え方をお持ちなのではないのかと思います。

 以上で回答を終わらせていただきます。

【神田座長】  
 ありがとうございました。2点目については、いかがでしょうか。先ほどの御説明の中にもいただいている資料の16ページや17ページで、規制撤廃によるお客様のメリットということで少し御説明はいただいたので、もし何か付け加える点があれば伺いますけれども、よろしいでしょうか。

【林参考人】  
 三菱UFJフィナンシャル・グループの林でございます。よろしいでしょうか。

【神田座長】  
 はい、お願いします。

【林参考人】  
 ありがとうございます。規制の撤廃だけで、私ども、あるいは金融資本市場の魅力の向上が達成されるわけではないということは、私どもも強く感じております。一方で、金融に携わる営業のフロント並びに私どもの組織自体も、実際にハンドル、取扱いを行うことで、自らを鍛え、自らが好循環ループに入っていくということだとも理解をしております。

 よって、30年前の金融制度調査会の答申では、金融商品・サービスに対するニーズの多様化への対応と、我が国金融資本市場の一層の自由化、国際化を実現すると、そのために金融庁は相互参入を含む金融制度の改革を実現すると発信していただいておりますが、その後、やはり銀行は銀行、証券は証券といった業務範囲に自らをとどめてしまっていたため、預貯金から金融資本市場のほうにお金の流れ込みが足りなかったということがあったのではないか、あるいは、資金調達における企業の資本市場の活用も、まだ道半ばなのではないか、国際金融都市としての東京の地位も確立されたとは言えないのではないか、このようなことをつらつら感じております。

 よって、一体的な運営により、銀行も証券会社も、金融業として、金融産業として、どのように発展していくのかということについて、具体的にアクションをとらせていただくことで、そこをしっかりと積み上げさせていただきたいということを先ほど申し上げたところです。

 以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。野村證券は、御発言ございますでしょうか。もしあればお伺いしたいと思います。

【飯山参考人】  
 ありがとうございます。野村證券の飯山でございます。

 一言だけお話をさせていただけるとすると、正に先ほど、武田委員から御指摘のあった何がメリットなのかというのは非常に重要なポイントだと考えてございまして、いろいろ日本の資本市場が抱える課題というのはいっぱいあるかと思います。国際競争力を高めること、金融サービスの質を高めること等々、顧客、市場にとってどういうプラスがあるのかという観点で考えるべきだと思います。

 そういった意味でいうと、ファイアーウォール規制が、そういったいろいろな課題の解決策になるのかという因果関係のところが、いまひとつ理解し切れていないところでございまして、この間の4月のサーベイでも、事業会社、同意書を出している企業と、出していない企業、たしかほぼ同数だったと思うのですが、実際に出されている企業がどういうメリットを感じておられるのか、どういった課題が解決できたのか、そういったところが明確になるといいのかと思うのですが、実際にメリットを感じたとお答えになったのは、たしか1社だけだったような記憶があるので、その辺のところが、私のほうとしても、理解を深めたいと思っているところでございます。

 以上です。ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、ちょっと時間が押してはいるのですが、せっかく今日、御参加いただいております三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、そして大和証券の皆さんから、もし御発言があれば、大変申し訳ないのですけれども、各社一、二分以内で御発言いただければと思うのですけれども、いかがでしょうか。

 三井住友フィナンシャルグループ、いかがでしょうか。

【伊藤参考人】  
 三井住友フィナンシャルグループの伊藤でございます。簡単に、限られた時間ですので。本日は、有意義な発表、御意見、御示唆を頂戴しまして、ありがとうございます。私からも、ファイアーウォール規制の見直しの意義につきまして、1点だけ補足させていただきます。

 私どもの資料の14ページにも記載しておりますが、ファイアーウォール規制の見直しというのは、単なる通過点というふうに考えておりまして、これを踏まえて、我々としても、いろいろと御指摘があったように、金融機関自身が、ビジネスモデルをさらに高度化し、グローバルスタンダードなビジネスモデルで、足元で複雑化するお客様のニーズにしっかり対応していきたいと考えております。このことが、ひいては日本の金融資本市場の機能強化や、日本経済の発展、強靱性の強化に貢献していくということだと考えており、そのスタートラインとして、まず規制の見直しということをお願いしているところでございます。

 私自身、大企業向けの法人営業におりましたので、感じるところがございますが、当然クロスボーダーの大型のファイナンスを伴うM&A等は、最初から銀行、証券でのサービスが非常に有効です。足元では、サステナビリティファイナンスなどは、やはり入り口で銀行がお客様のニーズをお伺いしながら、結果として証券のプロダクトにつながるといった事例も出ています。このように、お客様自身では気がつかなかったような商品を銀行と証券が一緒になって提供できるということは、私も経験としてよく理解しているところでございます。こうしたお客様の複雑化したニーズに対しては、しっかりと対応すべく、規制の撤廃を前提に必要な体制整備があれば、我々としても真摯に検討して参る所存ですので、繰り返しになりますが、ぜひとも我が国の金融のあるべき姿というものを見据えた骨太の検討をいただければと思っております。

 私からは以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。みずほフィナンシャルグループ、いかがでしょうか。

【白川参考人】  
 みずほフィナンシャルグループでございます。発言の機会を賜りまして、ありがとうございます。

 提出しました資料では、最後のほうに、今ちょっとSMBCさんからもございましたが、サステナビリティに関するビジネスを例にお示ししてございますけれども、私どもといたしましては、お客様との取引を通じて得ました知識や経験をグループ内で持ち寄りまして、つなぎ合わせることで、お客様に対する新たな提案、お客様に最もふさわしいサービスの御提供につなげたいということでございます。

 そうしたことを行うに当たりまして、同意書をいただけていないお客様に関する情報が共有できませんと、そのお客様はもちろんでございますけれども、資料上は必ずしもうまく表現できておりませんが、それ以外の、同意をいただいているお客様に対する提案の可能性までも狭まってしまっているという制約を強く感じてございます。定型化したサービスにとどまらない付加価値の高いサービスを御提供していくというのが私どもに課せられた使命だというふうに考えてございまして、グループとしての組織知を高め、お客様の様々なニーズをつなぎ組合せていくことが、そのためには必要になると考えております。

 情報授受規制の見直しをお願い申し上げているのは、こうした理由からでありまして、例えばですけれども、銀行から入手した情報を基に、証券がそのお客様に対して、お客様が望んでいないにも関わらず営業をしかけるといったようなことを目的としているわけではないということを申し添えたいと存じます。また、弊害防止に関する内部管理体制につきましては、きちんとやっているというふうに考えておりますけれども、強化、高度化の余地、必要性があるということであれば、これもしっかり取り組んでいきたいと考えてございます。

 以上でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。大和証券、いかがでしょうか。

【荻野参考人】  
 大和証券の荻野でございます。発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私どもが非常に大切だと思っているのは、金融機関がお客様からの信頼をどうやって確保するかということかと思っております。そのお客様との信頼獲得に関しましては、お客様とのコミュニケーションが十分できているということが大変重要ではないかと思います。そういう観点で見ますと、情報共有が必要なものについて、お客様の意向を確認するというプロセスは、これは簡素化するということはある程度あるかもしれませんけども、何らかの形でお客様の意向を確認するということが、よりお客様のニーズを正確に把握して、お客様に寄り添ったソリューションを提供する上で、とても重要なステップだと考えております。資本市場における国際競争力の強化にもつながると考えておりますので、このお客様目線に沿った制度の検討を、ぜひ引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 以上でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、ほかにオブザーバーの方々で、もし御発言があれば、手短にお願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。それでは、国際銀行協会、中村オブザーバー、どうぞ。

【中村オブザーバー】  
 国際銀行協会の中村でございます。発言の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 何人かの委員の方からも御指摘がありましたけれども、今回の規制緩和の中で、大企業、中小企業と分けるという方向性が示されておりますが、これにつきましては、管理が非常に煩雑になる、あるいは日本独自の規制がさらに加わるということで、緊急で私どものメンバー金融機関に調査をしましたところ、全員が非常に危惧しているということを、業界の意見として述べさせていただきます。

 もう1つは、今回の市場制度ワーキング・グループでは、成長資金の供給といいますか、リスクマネーフローの促進の議論がある一方でこのファイアーウォール規制の見直しがあるわけでございますけれども、大企業よりは、むしろ成長のために資金が必要なベンチャーとか、あるいは将来ユニコーンになるような大きく成長することが期待されるような会社、あるいは、事業継承といったことで、中小企業のほうが、むしろ総合的な金融サービス、あるいは成長資金の活用という意味で、トータルの金融サービスが必要なのではないかというところで、むしろニーズはここにあると考えております。日本の経済がさらに成長していくためには、こういう新しい企業がどんどん出ていくことが必要でございます。そういったことを、総合的な金融サービスを通してむしろサポートしていくほうが重要ではないかと思っています。

 さらには、その成長資金の出し手として、今、日本は非常に預金が多いわけですけれども、マクロ的にいうと、この預金をどういうふうに持っていくか、成長資金に汲み上げていくかという意味では、今回の議論としては相当遠いと思いますけれども、個人に対してどういうアプローチをしていくかという意味では、金融資産に対しての総合的なアドバイスが必要なのではないかと考えておりますので、ぜひ近い将来的には、個人顧客も含めて、この情報規制の緩和をお願いしたいと思います。

 最後に、これも何人かの委員からございましたけれども、ぜひプリンシプルベースで今後の法令改正をご検討いただき、私どもは多様化するニーズに応えていきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

【神田座長】  
 ありがとうございました。それでは、事務局からどうぞ。

【太田原市場課長】  
 御指摘ありがとうございました。先月、私どものほうで外資系金融機関の実務について紹介させていただいた際、我々の方でも認識しましたのは、グローバルスタンダードとしては、ホールセールと、あと、中小企業を含むリテールと分かれていて、後者のほうは銀行規制のみがかかっているというような状況であったかと思います。そして前者、ホールセールの方が銀行規制、証券規制共にかかっていたというような状況であったかと思います。そういった違いなども踏まえながら、また我々の方も検討を進めさせていただきたいと思います。

 以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、予定の時間を大幅に超過しておりますので、本日の1つ目のテーマについては、この辺りとさせていただきたいと思います。委員の皆様方には、大変活発な、また貴重な御意見をいつもどおりいただきました。そしてまた、御説明をいただきました金融機関、証券会社からは、非常に丁寧な御説明、また活発な御発言をいただきまして、どうもありがとうございました。

 それでは、2つ目のテーマ、若干時間が押しておりますが、成長資金の供給の在り方に関する事務局説明資料について、まず、事務局から御説明をお願いいたします。永山市場企画管理官、お願いいたします。

【永山市場企画管理官】  
 ありがとうございます。市場課の永山でございます。資料4について、御説明させていただきます。

 2ページですけれども、こちらは、いつもお示ししている全体像の中で、今回御議論いただきたい部分を赤枠で示しております。3月に一度、左側のプロ投資家のうち、個人のプロ投資家の要件について御議論いただいたところですけれども、今回は、このプロ投資家のメリット、法人のプロ投資家も含めてでございますけれども、プロ投資家向けの枠組みの在り方について御議論いただきたいと思っております。また、関連する論点としまして、この下にございます非上場株式のセカンダリー取引ですとか、証券会社の役割というところについても御検討いただければと思っております。

 3ページは、本日の論点に関するこれまでの委員の皆様の主な意見を御紹介させていただいております。

 続きまして、プロ投資家による成長資金供給の活性化に関する論点としまして、特定投資家私募の在り方について御説明させていただきます。5ページをお願いします。改めまして、特定投資家の金商法における位置づけでございますけれども、知識、経験、財産の状況から、金融取引における適切なリスク管理を行うことが可能なプロ投資家ということで特定投資家が位置づけられています。特定投資家については、書面交付義務ですとか、適合性原則といった金商業者の行為規制の一部が適用除外となっております。特定投資家向けの枠組みとしまして、金商法上、特定投資家私募が存在しております。特定投資家私募というのは、一定の開示情報、特定証券情報と呼ばれるものですけれども、一定の開示情報を提供して、金商業者を介して特定投資家のみに有価証券の取得関与を行う場合は、有価証券届出書の提出が免除されるという開示規制上の私募制度でございます。

 5ページの下に表で、ほかの私募制度、適格機関投資家私募、少人数私募との比較を示しておりますけれども、募集対象が特定投資家に限定されるということで、少人数私募のような人数の制限はございません。また、特定投資家私募に特徴的なところとしまして、特定証券情報、一定の情報開示が求められるという点と、発行体が直接ではなくて、金商業者を介して投資関与を行うという点が特徴でございます。この特定投資家私募の枠組みとしましては、この上の表にありますように、2つ大きな枠組みがございまして、1つは特定上場有価証券に関するもので、TOKYO PRO Marketのようなプロ向け市場に関するものでございます。この特定証券情報については、取引所規則で定める情報とされておりまして、もう1つ、そのほかの枠組みにつきましては、金融庁長官が告示で指定する情報ということにされておりますけれども、現在、こちらの告示の指定がないという状況でございます。

 6ページになりまして、現状の特定投資家私募の課題というところですけれども、特定投資家私募については、先ほど御説明したように、金商業者を介して勧誘するということになっておりますけれども、非上場株式については、金商業者による取得勧誘が、日証協規則において原則として禁止されております。また、非上場株式に関する特定証券情報が整備されていないということで、プロ向け市場を除いては、現在、特定投資家私募が利用できない状況になっております。こうした状況に対しまして、発行体企業ですとか投資家からは、特定投資家私募の利用のニーズが寄せられております。例えば、調達側のニーズとしまして、レイターステージにあるスタートアップ企業などが上場を見据えて、上場前から継続的に株式を保有してくれるような国内外の機関投資家を金商業者から紹介してほしいといった声ですとか、投資家側のニーズとしまして、機関投資家の方が、金商業者から新たな投資先候補を紹介してほしいといった声、あるいは個人のプロ投資家が、私募の商品への投資に関心があるといったような声が寄せられております。

 こうした状況、ニーズを踏まえまして、7ページの検討の方向性ですが、プロ投資家による成長資金供給の促進及びプロ投資家の新たな投資機会創出の観点から、必要な規定を整備して、この特定投資家私募を利用できるようにすることが考えられるが、どうかとしております。具体的には、現状、日証協規則で、非上場株式の投資勧誘が原則として禁止されているという点に関しまして、金商業者による特定投資家向けの投資勧誘を認め、各取引において勧誘対象となるものの特性を踏まえ、投資勧誘に係る具体的なルールを整備することが考えられるが、どうかとしております。また、非上場株式の特定証券情報につきまして、現状ではプロ向け市場に関する特定証券情報のみが存在しておりますが、その他の有価証券についても整理することが考えられます。特定証券情報の具体的な内容を指定するに当たっては、こちらも各取引における勧誘対象となる者の特性を踏まえ、特定投資家が適切に投資判断を行えるものであるか、投資家の開示負担に配慮したものであるかを十分に考慮する必要が考えられるとしております。また、発行者による適切な情報提供が確保されるよう、金商業者が適切に関与する仕組みも必要と考えられるが、どうかという点を提示しております。また、欄外の注になりますけれども、「インターネットで募集に係る報告をすること」というのは、現在、有価証券の募集に該当するとされています。この点につきまして、例えば適格機関投資家や特定投資家のみが閲覧可能な場合、その適切な運用が確保されているということを前提に、有価証券の募集に該当しないという旨を開示ガイドラインで明確化することが考えられるとしております。

 続きまして、非上場株式のセカンダリー取引の環境整備に向けた論点ということで、9ページを御覧いただければと思います。現状、非上場株式のセカンダリー取引の機会は、投資家の間での相対取引ですとか、株主コミュニティ制度に限られておりまして、投資家の投資回収の機会が限定的となっています。この点につきまして、投資回収の機会を充実させることで、さらなる投資の促進が期待されることから、非上場株式のセカンダリー取引の環境整備として、2点御提案させていただいております。

 1点目は、現在、投資家間の相対取引となっている点についてですけれども、先ほど言及したように、金商業者による非上場株式の投資勧誘が日証協規則で原則として禁止されているため、現在は投資家が自身で取引の相手を探しているという状況にございますが、金商業者を介して特定投資家への売却を容易にするという観点から、先ほどの特定投資家私募の整備に関連しまして、特定投資家向けの投資勧誘ルールの整備として、セカンダリー取引に関するルールも整備するということが考えられるかと思っております。

 あともう1点が、株主コミュニティ制度に関するところでして、現在、証券会社による株主コミュニティへの参加勧誘対象者が株主や役職員等に限られており、各コミュニティの参加者が少ないため、コミュニティ内の株式の発行流通が少ない状況となっています。そのため、非上場企業による株主コミュニティ制度の利用も限定的となっております。この点について、株主コミュニティの参加者を増やし、株式の発行流通を活性化するため、特定投資家につきまして、この株主コミュニティの参加勧誘対象に加えることが考えられないかという点を御提案しております。

 後ろに参考資料としてつけておりますけれども、11ページ、12ページのところは、以前2月の回に株式投資型クラウドファンディングの制度を御議論いただきました際に、投資家の投資上限額50万円に関して、プロである特定投資家については撤廃してはどうかという御議論をいただいたところでして、こちらも特定投資家向けの特別な枠組みというところで、関連するものとして再掲させていただいております。

 説明は以上になります。ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、日本証券業協会の松本昌男自主規制本部長から、御説明をお願いいたします。松本参考人、よろしくお願いいたします。

【松本参考人】  
 日本証券業協会、松本でございます。本日は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。私から、本協会におきます非上場株式の活性化に向けた検討状況について、説明させていただきます。

 資料1ページ目をお願いいたします。本協会におきましては、政府における成長資金の円滑な供給に向けた検討を踏まえまして、こちらに少し長いタイトルでございますが、非上場株式の発行・流通市場の活性化に関する懇談会を設置して検討を行っているというところでございます。検討事項は2ポツのとおりでございまして、3ポツに書いてありますとおり、これまで本懇談会を5回開催しておりまして、その結果について、来月をめどに報告書として取りまとめる予定でございます。

 次ページをお願いいたします。本懇談会の検討の視点でございます。非上場株式の発行・流通は、ともに、海外と比べて非常に限定的でございますので、その活性化を喫緊の課題と捉えてございます。なお、今の説明にもございましたとおり、証券会社が非上場株式の投資勧誘を行うことにつきましては、当協会の自主規制規則によって、一部の例外を除き原則禁止というふうになってございます。本懇談会におきましては、非上場株式の発行・流通、両面で活性化する必要があるという認識のもと、証券会社がどのように関与することが望ましいかという観点で検討を行ってございます。

 3ページ目をお願いいたします。3ページ目でございますが、証券会社の関与ニーズが想定される発行者、投資家についてまとめてございます。まず、証券会社の関与が想定される投資家でございますが、金融庁の資料にありますとおり、リスク許容度の高い特定投資家を想定しています。こういった投資家からは、投資先の紹介に加えまして、発行者についての審査や業界分析などのニーズが寄せられているところでございます。また、非上場企業からは、投資家の紹介や取引の場の提供のほか、バックオフィスのリソースが十分でない企業におきまして、投資家との条件交渉、資料の作成などのニーズが寄せられてございます。

 最後の(参考3)、9ページを御覧いただけますでしょうか。こちらの表の2列目に記載をしてございますが、当協会では昨年の12月、自ら企業価値評価等、いわゆるデューデリジェンスでございますが、こういったことが可能な特定投資家向けの少人数私募のルールを整備してございます。対象の投資家としましては、国内外のベンチャーキャピタル、コーポレートベンチャーキャピタル、政府系ファンド等の正に自らデューデリジェンスが可能な投資家を想定してございます。この制度は、非上場株式の投資への道を開くというものでございますが、少人数私募というものでございますので、対象の数が制限されているとか、ウェブサイトを通じた勧誘の制約があるということでございます。一方、その隣でございますが、現在検討中の特定投資家の私募、こちらのルールでは、国内外の大規模投資家のほか、自らデューデリジェンスするための情報がとれないまでも、新たに整備する特定証券情報があれば投資したいという意向のある一般の事業会社、エンジェル投資家、企業経営者などを想定し、投資者保護にきちんと留意しつつ、いわゆるプロ成りの個人、法人も対象となるような制度整備を検討してございます。また、特定投資家私募であれば、勧誘対象者の数に制限はございませんので、例えばミドル・レイターといった比較的大きな非上場企業による大規模な資金調達があった際に、証券会社が50人以上の投資家に対して私募の取扱いを行うといったケースや、先ほどございましたが、インターネットを通じた勧誘も可能になるというふうに考えられます。また、プライマリーの投資家の数が増えれば、その分セカンダリーの取引もしやすくなるということで、証券会社を通じた取引制度としては、この特定投資家私募制度の活用は非常に効果的というふうに考えてございます。さらに、株だけではなくて、私募ファンドを通じた非上場株式への投資ということにつきましても、特定投資家私募であれば、より多くの投資家に勧誘することができますので、少人数私募に比べて、ファンドの組成、勧誘がしやすくなるというメリットも考えられるところでございます。

 4ページに戻っていただけますでしょうか。4ページ目では、これらのニーズを踏まえまして、非上場株式の発行・流通における特定投資家向けの制度改善案を整理してございます。左側の図でございますが、まず、プライマリーについて、米国の規制などを参考にし、開示規制を整備するとともに、当協会の自主規制規則におきまして、投資家保護策として、取り扱う証券会社を指定したりですとか、発行会社に対する審査等の勧誘ルールを整備してはどうかというふうに考えてございます。ですので、開示と行為規制、または勧誘規制を両面で整備していくという考え方でございます。右側はセカンダリーでございますが、特定投資家私募で発行された株式のセカンダリー取引の勧誘ルールを整備し、証券会社が関与できるようにということを検討してございます。また、こういった取引はインターネットを通じて行うことも考えられますが、その場合のPTSの該当性についても整理が必要というふうに考えてございます。これらの制度改善を整備いたしまして、投資家保護を図りつつ、証券会社が非上場株式や投資家からのニーズに応え、市場仲介者としての機能を発揮することが可能になるという効果が見込まれてございます。

 5ページ目でございます。株主コミュニティとクラウドファンディングについての改善策でございます。株主コミュニティ制度につきましては、コミュニティの参加勧誘や投資勧誘を行える範囲を拡大することができないかといった議論を行ってございます。右側のクラウドファンディングにつきましては、既に本ワーキングで議論していただいてございますので、説明は割愛させていただきます。

 6ページ以降は参考資料でございますので、後ほど御高覧いただければと思います。私の説明は以上でございます。御清聴ありがとうございます。

【神田座長】  
 松本参考人、どうもありがとうございました。それで、予定の時間が来てしまっているのですけれども、委員の皆様方には、今、検討の方向性として、とりわけ事務局説明の資料4の7ページと9ページの検討の方向性でよいかどうかお伺いできればありがたいのですけれども、御発言いただける場合は、ごく簡潔に御発言いただき、それから、今日の会合の後に、終了後で恐縮ですけども、事務局あるいは私まででも結構です、メールでこの検討の方向性でいいとか、こういう点に留意すべきだとかといったような御意見がもしあれば、ぜひいただければありがたく存じます。

 そうは申しましても、ここで今日は終わりというわけにはいきませんので、若干延長をお許しいただくことにして、御発言という形で御意見をいただける方には、少し御発言いただければと思います。いつものようにチャットで御希望をお出しいただければと思います。なお、今、私、チャットを拝見いたしまして、日本ベンチャーキャピタル協会の赤浦オブザーバーですけれども、チャットをいただいておりますので、記録にとどめさせていただきます。

-----(赤浦オブザーバーによるチャット上でのコメント)------

【赤浦オブザーバー】  
 特定投資家私募の範囲拡大が証券会社が介在する前提となっており、米国レギュレーションDとは別物になってしまっています。発行体やファンドによる自己募集も対象にすべきではないかと考えます。証券会社が介在する前提となっているため証券会社が審査する前提となっているのは本来の趣旨に反するのではないか。

 資料外ではありますが日証協懇談会で議論されている公開資料を見ますと、特定証券情報がレギュレーションDのフォームDと比べて非常に重たい内容になっており、特に財務情報や事業計画を開示する前提となっているため、発行体は競合への情報流出を恐れて利用が極めて限定的となる恐れがあります。先週の日証協第5回懇談会でも上記の議論がなされ、多数の委員のかたから強い意見が多数あり、活発な議論がなされ、最終アウトプットで自己募集についても必ず触れると大崎座長から言及がございました旨、ご報告させていただきます。

------------------------------------------------------------------

 委員の皆様方、どうでしょうか。御発言の御希望がございましたら、お願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。森下委員、どうぞお願いします。

【森下委員】  
 ありがとうございます。私は、御提案の方向には賛成いたしたいと思います。新しく特定投資家の方に成長資金を供給していただくに当たり、従来、特定投資家については行為規制を大幅に緩和していたわけですけれども、そういった部分を強化して、自主規制においてであっても、投資家保護を少し厚くすることによって、新しく投資家が参入しやすいというような環境をつくり出すという方向性だというふうに理解していますので、そのような方向性は適切なものではないかと考えます。

 以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、井口委員、どうぞお願いします。

【井口委員】  
 ありがとうございます。私も報告書の検討の方向性でいいのではないかと思っております。また、発行体や投資家の間に強いネットワークを持った金融業者の関与というのも必要ではないかと考えています。

 あと、これも検討の方向性の中に書かれていますが、非上場株式の流通制度の整備にあたっては、投資家保護の観点から、開示が大事で、特定証券情報などの枠組みの活用というのが大事になってくると思います。ただ、TOKYO PRO Marketの開示書類などを拝見すると、有価証券報告書に準じたような開示になっています。TOKYO PRO Marketの企業はさらに上の上場区分を目指していらっしゃるということで、こういう開示でいいとは思っているのですが、非上場の会社を考えますと、開示負担が重いのではないかと思っていまして、TOKYO PRO Marketと非上場企業の間にも差をつけるというやり方もあるのではないか、と思っています。例えば、監査済の財務諸表は必要と思っておりますが、それ以外の情報、非財務情報部分の記載を簡素化するとか、あるいは、間に入られる金融業者に御助言いただきながら、non-GAAPの任意の開示書類で補足するとか、といった対応も考えられるのではないか、と思っております。以上でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。では、有吉委員、どうぞ。

【有吉委員】  
 有吉でございます。私も事務局の方向性については賛成いたします。

 その上で、特定投資家私募の見直しについては、もちろん投資家に不測の損害を生じさせるようなことにはならないようにする必要がある一方で、発行体にとって、手続的な負担が重くなって、結局誰も利用しないという制度にならないようにすることが非常に重要だと思います。

 今の井口委員のお話とも同じ目線なのかと思いますが、証券会社による審査であるとか、それから、特定証券情報での開示の内容次第では、本当に発行体が誰も利用しないという恐れがあるように思いますので、成長資金の供給という観点からは、この制度がゲートキーパーとしての証券会社が認めたプロの投資家だけが対象になるということを前提として、上場会社を対象にするような場面とは大きく発想を変えて開示内容等を考えていくことが必要ではないかと思います。

 加えて、事務局説明資料の7ページにも注記されている点ではございますが、制度の見直し後には、恐らくアクセス制限などを利用して、オンラインでの特定投資家私募の活用ということが検討されるのではないかと思います。その際に、実務的に障害になるようなことがありそうであれば、ぜひ制度改正とか解釈指針の公表とか、こういった方向で当局には御対応いただきたいと思います。

 以上でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、野村委員、どうぞ。

【野村委員】  
 野村でございます。私も事務局が示していただいた方向性に賛成でございます。

 また、この課題は中長期的な取組も重要であろうと思っておりますので、本日までの議論と、この改革の方向性というものに加えて、引き続き、日本なりにプロ投資家になるインセンティブの拡充ですとか、自己責任の徹底、あるいは資金調達サイドから見た様々な選択肢の拡充、IPOの在り方も多様化しているという足元の状況もあろうかと思いますので、そういったことを全体として非常に幅広く取り組む必要があるということを、この場で改めて申し述べたいと思いました。

 以上です。ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、松本委員、どうぞお願いいたします。

【松本委員】  
 まずいただきました資料につきまして、特定投資家を勧誘するという方向性については賛成でございます。

 一方で、私たちがちょうどミドルレイターステージのスタートアップという立場からいたしますと、やはり証券会社が、ここは赤浦オブザーバーが正に書かれているとおりなのですが、証券会社が介在する前提となっているというところで、やはりコスト面であったり、特にミドルレイターステージになりますと、かなりIPOに対するコストが重くかかっている中で、追加で、その前に資金調達のコストもさらにかけるという負担がどうなのかというところは気になる点でございまして、正に自己募集も可能にしていただくとなると、かなり活用するスタートアップは多くなるのではないかと思います。

 あとは、事業計画の開示は、一定程度はしなければいけないとは思うのですが、やはり競合への情報漏洩はかなり気にしますので、その開示の範囲というものにつきましては、こちらのほうにも赤浦オブザーバーも書かれていますけども、御配慮いただけるということがあれば、非常に活用の幅が広がるのではないかと考えております。

 以上となります。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。オブザーバーの方も含めて、もし御発言があればお伺いしたいと思います。

 それでは、予定の時間も過ぎておりますので、大変恐縮でございますけれども、委員の皆様方には、さらに追加の御意見とか御感触等がございましたら、事務局あるいは私までメール等でお知らせいただければ大変ありがたく存じます。それでは、本日はこの辺りとさせていただきます。一部接続の不具合等で御迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした。本日いただきました御説明や御意見等を踏まえ、今後さらに具体的な検討を行ってまいります。次回のワーキング・グループの日程及びテーマ等に関しましては、後日、事務局から御案内させていただきます。

 以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。皆様方には、大変長時間、熱心に御参加いただきまして、どうもありがとうございました。それでは、以上で終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 
―― 了 ――

 
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